ポーカーのエクスプロイト戦略|やり方・練習方法を解説

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この記事ではポーカー(テキサスホールデム)のエクスプロイト戦略について解説していきます。

本記事はこんな方におすすめ!

・エクスプロイトについて勉強したい人

・GTOは勉強したけどなかなか勝てない人

・GTOに反したプレイにどう対応していいかわからない人

・今より一つ上の実力を身に着けたい人

エクスプロイトを使って勝ちたい人、エクスプロイトについて詳しく知りたい人はぜひ最後までご覧ください。

この記事のライター
Chika 27歳・ポーカー歴4年
ライブトーナメント獲得賞金額1,500万円超

MTTが得意で年間7~8回ポーカーのために海外遠征する

エクスプロイト戦略とは?

エクスプロイト戦略とは?

エクスプロイト(英:exploit)とは、日本語で「搾取」という意味です。

一方で現在、ポーカーが強くなる方法として一つの近道とされているのがGTO戦略です。

GTO戦略とはゲーム理論に基づいてお互いが利益を最大化するよう行動する状況下でプレイヤーが取るべき最適解のことです。

簡単に言えば、偏ったプレイをせずにバランスよく数学的に正しいプレイをしようというのがGTO戦略の特徴になります。

しかしながら、特に初心者の多い環境などでは、各プレイヤーが最適な行動をしているとは言いづらく、せっかくGTOを勉強したのになかなか勝てない状況に陥ってしまうこともしばしばあります。

そこで、登場してくるのが今回解説するエクスプロイトです。

エクスプロイトは、数学や統計よりも、相手のプレイの傾向や特徴をよく観察し、そこに隙があれば搾取しようという戦略になっています。

エクスプロイトはGTO戦略が通用しないような相手にも安定して勝つことができる戦略なのです。

エクスプロイトするメリットは?

ポーカーでエクスプロイトするメリットは?

ポーカーでエクスプロイトをする最大のメリットは、成功すればGTO戦略よりも多くの利益が見込めることです。

前項でGTO戦略は相手に付け込まれない戦略ということを説明しましたが、GTOの答えはかなり特殊な状況を想定しています。

GTO理論が説明される際に頻繁に使わる例がじゃんけんなのですが、GTO理論が前提としているのは、プレイヤーがグー・チョキ・パーを全く同じ確率、つまりそれぞれを等しく33.3%で出す環境です。

しかし、人間であれば出す手に多少偏りがあるのは当然で、よほど意識していない限りは、すべての手を同様の確率で出している人はほとんどいないはずです。

人によっては70%の確率でグーを出していたり、あいこのあとには100%チョキを出すなんて人もいるかも知れません.

例えばグーが多い相手には、単純にパーを出す回数を増やすことが最も利益的です。

ポーカーにおいても、そのような相手に対してはGTO戦略を使うよりエクスプロイト戦略を取ることで利益を最大化することが可能になります。

【超重要】エクスプロイト4つの極意

【超重要】エクスプロイト4つの極意
【超重要】エクスプロイト4つの極意

相手の傾向をよく観察する

大きいベットサイズをどんどん使う

引かれて負けてしまっても気にしない

自分のイメージにも気を使う


エクスプロイトには、エクスプロイトがしやすくなるいくつかのコツがあります。

いまから解説する戦略を使って相手からより多くエクスプロイトしましょう。

相手の傾向をよく観察する

オンラインポーカーなどでは、HUD(ヘッズアップディスプレイ)と呼ばれる各プレイヤーそれぞれの統計データを表示してくれるツールを使うことができます。

HUDは一般的に、全体的な数値が高いほどルー、数値が低いほどタイトとなります。

相手と同じテーブルでプレイする事にデータが集積されていき、データが100ハンド程あれば相手の大まかな傾向が分かると言われています。

オンラインでは、これらのデータを活用することでエクスプロイトをしやすくなります。

そのようなものがないライブポーカーの場合には、相手のアクションをよく観察したり、ショーダウンまで行ったハンドを覚えておくことで傾向を掴むことをおすすめします。

ハンドが終わったあとに相手のハンドを記録しておくのも一つの方法でしょう。

大きいベットサイズをどんどん使う

HUDなどで相手の何らかの癖や傾向を発見できても、まだエクスプロイトできるのに中途半端なサイズのベットを使ってしまうプレイヤーがよくいます。

相手に勝っていると思われる状況では、ためらわずにポットサイズのベットやポットオーバーのベットを使って、相手からチップをたくさん奪い取りましょう。

当然フォールドされることもありますが、続けていくうちに、どこまでであればバリューが取れそうか分かってくるはずです。

GTOで勉強したベットサイズなどは一度忘れて、自分の利益を最大化させるために、どんどん大きなベットサイズを使っていくことが望ましいです。

引かれて負けてしまっても気にしない

先ほども解説しましたが、エクスプロイトしやすい相手の典型的な例として、フラッシュやストレートのドローハンドに執着しすぎるプレイヤーが挙げられます。

そのような相手に対して、ドローを引く確率に見合わないようなベットにうまくコールさせて、せっかくターンまで有利な勝負をしていたのに、リバーでフラッシュを引かれて負けてしまった、、ということもあると思います。

引かれて負けてしまうことは、チップを失ってしまうことは当然ですが、メンタル的にもかなりダメージを受けてしまうことも多いでしょう。

そこで、また引かれて負けるのは嫌だから、ドローが見えるボードのときにはチェックで回して安く次のカードを見ようなんてことは考えずに、くじけず同じプレイを続けてください。

短期的に見れば損をしてしまうことはありますが、長期的に見れば必ずプラスになるので、自分のやっていることは確率的に正しいと信じてエクスプロイトをし続けましょう。

自分のテーブルイメージにも気を使う

今までは相手のことばかりでしたが、エクスプロイト戦略では自分が相手にどう思われているかということも非常に重要になってきます。

例えば、あなたが非常にタイトパッシブなプレイヤーだと他のプレイヤーから思われている場合、トップヒットを絶対に降りないようなプレイヤーであっても、あなたの大きなベットには降りてしまう可能性があります。

逆に、あなたがアグレッシブ過ぎる場合、ハンドを降りすぎてしまう相手にブラフしても、ブラフが多そうな相手だからと簡単にブラフキャッチされるかもしれません。

このように、エクスプロイトをする際には、相手の傾向と同じように、自分の傾向を知ることがとても重要です。

エクスプロイトしやすい相手の特徴4選

エクスプロイトしやすい相手の特徴4選

エクスプロイトしやすい相手の特徴4選

弱くても役が完成したら降りない

スーテッドハンドやコネクターハンドを必要以上にプレイしてしまう

大きいベットに降りてしまう

CBを打ちすぎてしまう

エクスプロイトしやすい相手にはいくつかの特徴があります。

特に多い特徴をピックアップしたので、これらを覚えて実践することができれば、有利に戦えること間違いなしです。

Chika

これらの特徴は一人のプレイヤーに何個も当てはまっていることがあるので、相手をよく観察しましょう。

弱くても役が完成したら降りない

初心者に最も多いのはこのタイプのプレイヤーです。

特に多いのが、トップヒットが完成すれば、ボードやアクションの強さに関係なコールしてしまうプレイヤーです。

場合によっては、フラッシュやストレートが考えられるボードでもベットにコールしてくれたり、ミドルヒットやボトムヒットでさえもコールしてくれる可能性すらあります。

こちら側としても引かれて負けるカードがほとんど無い有利な状態で戦えるため、非常にやりやすい相手の特徴の1つです。

スーテッドハンドやコネクターハンドを必要以上にプレイしてしまう

次にエクスプロイトしやすい特徴としてスーテッド(マークが同じ)やコネクター(JTや98)ハンドを、本来のハンドレンジよりも広く参加してしまうプレイヤーが挙げられます。

この手のプレイヤーは一度ドローになってしまえば、リバーカードを見るまでこちらのベットにコールしてくれる可能性が非常に高いです。

また、自分がAハイフラッシュやKハイフラッシュの強いフラッシュや上のストレートを完成させたときに、弱いフラッシュや下のストレートを持っているときも多く、そのような場合はたくさんのチップを奪うことができます。

このようなプレイヤーに対しては、ドローの勝率に見合わないようなサイズのベットをして、コールさせ続けるのが良いでしょう。

他のプレイヤーが誰もアウツ(この場合フラッシュとストレート完成に必要なカード)をもっていない場合でも、ターンとリバーでフラッシュやストレートを引く可能性は約36%、リバーのみであればその半分の確率しかありません。

また、そのようなプレイヤーはドローが完成したときに大きなベットをしてきてくれることも多く、そのような場合は素直にフォールドするのが得策でしょう。

大きいベットに降りてしまう

この特徴のほとんどのプレイヤーはプリフロップ以降をとても消極的に戦います。

特に低いレート帯の場合、大きいベットをされる=強いハンドの可能性が非常に高いので、ベットされた際にそれを警戒しすぎるあまり、トップヒットやそれ以上の役であってもフォールドしてくれることがあります。

また、低レート帯はチェックレイズや3betなどのアクションがあまり多くなく、大きいベットの時と同様の理由で諦めるプレイヤーも多いため、そのような場合にはブラフでのチェックレイズや3betを増やすことでフォールドさせることを狙いましょう。

ブラフをされることも少なく、相手からベットされたときは本当に強いことがほとんどなので、とても戦いやすい相手です。

CBを打ちすぎている

CB(コンティニュエーションベット)はプリフロップで最後にレイズしたプレイヤーが、フロップ後も続けてベットする戦略のことです。

CB戦略自体はとても有効なのですが、プレイヤーの中には、役が出来たらとにかくベットしてしまう人がいます。

そうすると、いわゆるチェックレンジが弱いという状態に陥ってしまいます。

チェックしたところにほとんど強いハンドが残っていないため、こちらのベットには対抗する方法がほとんどないので、そのようなプレイヤーを発見したら迷わずこちらからベットしましょう。

また、自分がアグレッサー(前のストリートで最後にベットした人)であれば、バリューでもブラフでもとにかくベットするようなプレイヤーもおり、そのような相手はベットし始めたらターン、リバーと止まらずにベットし続けてくれることも多く、ブラフも多く含まれています。

ベットやブラフを多くする相手には普段よりコールを増やして対抗するのが良いでしょう。

エクスプロイトの練習方法

エクスプロイトの練習方法

エクスプロイトの練習方法は?

 いろんなサイズのベットをしてみる

 小さいポットにも集中する

 まずは低いレートで練習してみる

エクスプロイトの基本を理解したら、いよいよ実践です。

エクスプロイトには決まったセオリーは存在しないので、とにかく自分でやってみることをおすすめします。

最初は考えることが多いと思いますが、慣れてきたら感覚的にどこまでエクスプロイトできるか分かってくるはずです。

Chika

実践に勝る練習方法はありません。今から解説することに気をつければ安心して練習することができます。

いろんなサイズのベットをしてみる

どのプレイヤーがどんな状況でどこまでのサイズのベットにコールやフォールドしてくれるかはやってみないとわかりません。

エクスプロイトするときはこのサイズだ!と決めつけてしまうのではなく、色々なサイズのベットをしてみて、どこまでコールしてくれるかを見極めましょう。

オンラインポーカーの場合、どこまでのサイズにコールしてくれたかをメモ機能を使って記録すれば、その後そのプレイヤーと対戦したときに効率的にエクスプロイトすることができます。

しかし、あまりにも同じサイズで何度もベットしていると、相手に気づかれてフォールドされてしまい、逆にエクスプロイトされることもあるので、何度も同じプレイヤーと当たるのであれば時々ベットサイズを変更することをおすすめします。

小さいポットにも集中する

エクスプロイトできるタイミングはいつどこで来るかわかりません。

小さいポットだからと適当に勝負してしまうのではなく、集中して常に相手の観察を怠らないようにしましょう。

小さいポットほど相手も油断しがちで、癖が出やすいことが多いです。

1ハンドではたった数BBの勝ちかもしれませんが、積み重ねれば大きな利益となります。

常にエクスプロイトのチャンスがあると考えてプレイするように心がけるのが良いでしょう。

まずは低いレートで練習してみる

今からエクスプロイトを練習し始めたいという方や自分のエクスプロイトに自信がない方は、まずは普段自分がプレイしているより低いレートで練習することをおすすめします。

その理由はいくつかありますが、まずはマネープレッシャーが少ないことです。

エクスプロイトする際にはそれ相応のリスクがつきものです。

大きいベットが必要な場面やブラフをしなければならない場面も出てきます。

そのような場合に普段と同じレートだと、チップを失うことが怖くて十分にベットできなかったり、ブラフの多い相手とわかっていてもコールできないことがあるかもしれません。

レートを下げれば、そのような不安は軽減されて本来必要なアクションが取れる確率が高くなります。

もう一つの理由としてあげられるのが、エクスプロイトしやすい相手を見つけるのが簡単になることです。

一般的にポーカーはレートの高さがレベルの高さになっていることが多いです。

つまり、今やっているレートである程度勝ち越すことができている人の場合、レートが下のプレイヤーとはそもそものスキルに違いがあります。

レベルが低ければ低いほどミスが多くなり、高いレートでは起こらないようなミスプレイも起きるため、ミスに気づきやすく、そこにつけ込むことも難しくはないと考えられます。

そのため、慣れるまではいつも自分がプレイしているよりも低いレートでエクスプロイトすることだけに集中して打ってみることが望ましいです。

エクスプロイトに関するQ&A

エクスプロイトに関するQ&A

エクスプロイトに関するQ&A

エクスプロイトとGTO戦略は結局どっちがいいの?

エクスプロイトしたつもりが負けていることが多いのですが、、

自分がエクスプロイトされないためには?

エクスプロイトについてよくある質問をいくつかご紹介します。

エクスプロイトとGTO戦略は結局どっちがいいの?

本記事でもお話した通り、GTO戦略とエクスプロイトはそれぞれが独立しているわけではありません。

まずは、GTOWizardなどのGTO分析ツールなどを使って、ある程度GTOを勉強しておくことをおすすめします。

その上で相手のレベルや特徴に合わせてGTO戦略とエクスプロイトを柔軟に使い分けることが理想的です。

エクスプロイトしたつもりが負けていることが多いのですが、、

エクスプロイトしたい相手の特徴を見誤っている可能性が高いです。

一度立ち止まって度相手の特徴を分析し直してみることは、エクスプロイトに限らず、ポーカーを上達させるためにとても重要なことです。

また、相手は前までエクスプロイトされていたけど、途中で自分のミスに気づいて修正してくることもよくあります。

さらには、自分の中で作り上げてしまったイメージや、データだけを頼りに打っていませんか?

本記事では統計データを参考にするということをご紹介しましたが、データはあくまで一つの指標に過ぎません。

データやイメージを鵜呑みにしすぎるあまり決めつけでエクスプロイトを試みるのはやめましょう。

自分がエクスプロイトされないためには?

定期的に自分のプレイを振り返ることが大切です。

自分1人でプレイし続けていると自分の偏ったプレイになかなか気づきにくく、知らず知らずのうちに相手に癖がバレてエクスプロイトされていたなんてことも。

そのようなことを防ぐためにも、さきほど紹介したツールを使って自分のプレイを分析することや、周りにポーカーの上手い人がいれば相談してみることも有効な方法です。

また、最近ではYoutubeなどでエクスプロイトやGTOについての解説動画を投稿している人も多いので、そちらをご覧になるのも効果的ではないでしょうか。

【まとめ】ポーカーのエクスプロイトについて

【まとめ】ポーカーのエクスプロイトについて

今回解説したエクスプロイト戦略を身につけれは、自分より格下の相手からより効率的にチップを奪うことができ、更にはプレイの幅も広がり、今より勝てることも多くなるでしょう。

普段から他のプレイヤーの観察を怠らず、チャンスがあれば常にエクスプロイトを狙っていくようにしましょう。